「ファイバー ウエイブU」は、「ファイバー ウエイブ」の発展インドアバージョンで、
材質、サイズ、仕組みとも、異なっています。
ファイバー ウエイブが戸外の風や陽のひかりと反応するのに対して、
ファイバー ウエイブUは、ウエブ上のデジタル環境と呼応することを前提にしています。
両者の共通項は、「風」を、目に見えるようにする、という点です。
任意の場所の風の情報(風向と風速)をインタネットから取り込み、データ処理の上、
複数の送風機を組み合わせたシステムで、実際に「再現」します。
その場所のライブ画像も、同時にネットから取り込み、表示しています。
制御ソフト、ハードとも、このために開発されたオリジナルのシステムです。
風、は、都市だけに吹いているのではありません。
他の天体でも風は吹きますし、経済情勢も、風の一種と考えることができます。
そうした、「見えない風」も、ここでは見ることができます。
風というアナログな環境をデジタルデータに変え、それをまた
空間というアナログな環境に戻します。
データに変えた時点で、リアルな場所、という意味が薄れます。
それを、ファイバーウエイブという、一本一本はデジタルな単位の変化で、視覚化します。
デジタルな単位ですが、その動きは、しなり、というアナログです。
デジタルとアナログ、リアルとバーチュアル、そのやりとりと変換の重ねあわせが、
どちらでもない「流体」環境を形成していきます。
選択可能な風(随時変化します)
都市:
NEW YORK・LONDON・PARIS・MOSCOW・ALASKA・BUFFALO・KUOPIO
他の天体:
太陽風(2日ごとに更新)・木星(推定値)
通貨レート: ドル・ユーロ
データ上の風速には場所により異なった係数をかけて変換しています。
風に与える揺らぎ関数も、場所・状況により変わります。
![]() |
![]() |
![]() |
:::::::::
下記は、展覧会カタログの掲載文です。
:::::::::
風は見えない。
肌に感じられても、眼には見えない。
しかし、樹々のそよぐ姿から、風の存在に気づく。
梢は、風の視覚化装置として機能している。
「ファイバー ウエイブ」は、人工の梢である。
木々は、しなる。
柔らかく撓んで、風をやり過ごす。風と戦わない。
戦わないが、負けはしない。風が止めば、元の姿を取り戻す。
人のつくるものは、そうは行かない。いつも戦っている。
建物も橋も塔も。
硬く、強く、雄々しく風に立ち向かい、
そして、ときに壊れる。
「ファイバー ウエイブ」は、違う。戦わない。樹々に近い。
自分のカタチを変えて、風との関係を取り結ぶ、人工の植物。
風が決める、自分のかたち。デザインレス・デザイン。
そして、「ファイバー ウエイブ U」は、光でもある。
そよぐ、ひかり。
ひかりをそよがせるのは、この場所の風ではない。
どこか、ほかの世界で、いま、吹いている、風。
海の向こうで、遠い砂漠で、暑い街で。
緑の惑星で、赤い星で、凍ったメタンの海で。
ネットのどこかで。
その風が、見える。いま、ここで。
テクノロジ、生物、ネット、
その融合。
都市を溶かす、流体の手触り。
:::::::::
「ファイバー ウエイブ」は、風にそよぎ太陽エネルギーで発光する、
エネルギーを要しない環境アート。
岐阜、東京臨海副都心、シカゴ の三都市で稼動中。
「ファイバー ウエイブ U」は、そのインドア版発展バージョン。
ネットを通じてバーチャル世界の風と感応する。
データ、風、物質、の変換。
デジタル/アナログ/デジタルの交換。
そのプログラムは会期中も進化し続ける。
さらに、マルチメディア文学「流体都市」(実業之日本社)とも、交感する。