ATLAS 1996 |
街への一般解/単純原理による多様性 |
街は誰がつくっているのか/分譲集合住宅のすべきこと住宅街を歩いてみよう。そこにあるのは建築家の作品ではない。 この建築は、民間の分譲集合住宅である。ふつう、分譲マンション、と呼ばれているものだ。 一方で、公共の集合住宅もある。しかし、公的資金による価格の軽減が期待できる公共住宅と、厳しい市場原理をクリアすることを義務付けられた民間分譲住宅とでは、前提条件が違う。 置かれた環境条件を理解しなければ、その建築が何を解こうとしたのかが見えてこない。 マスを、変えなければ、街は変わらない。 そのために、「普通の」マンションに課された(けして、すべて、ではない)市場経済的条件をクリアしながら、街と生活空間へ、これまでと違う提案を行うこと。 誤解しないで欲しい。これは、現状の無批判な肯定とは、まったく違う。 批判を論評に留めるのではなく、それを実行するためには、誰にでも採用可能な「代案」を提示する必要がある。 都市は多様であるべきものだ。渋谷の都心と荻窪の住宅地と臨海副都心とでは、街の在り方は異なっていい。
東京の住宅地/望ましい街の姿この建築の位置する荻窪という街は、東京の巨大ターミナルの新宿から電車で15分程の、小さな一戸建住宅の多い街である。 日本の現行税制の結果、住宅地はどこでも遺産相続の度ごとに敷地が分割されて、次第に単位が小さくなっていく傾向にある。しかしこの街ではそれも限界に達していて、再び住宅は集まって、集合住宅化しつつある。 その結果、いままでは小さな単位が集まった街であったところに、それより大きなスケールの塊が増えていくことになる。 ではしかし、その時、どのような街並をつくっていったらいいのか、その提案はいまだなされていない。 | |
街の構成原理から/不規則性という規則小さな家や細い道や、植込などのしつらえによりつくられるこの街スケール感は、街に親しみを生んでいる。また、少しづつ異なった家々の集合、という性格は、画一的ではない統一感を感じさせる。 それは、現在の街から抽出される構成原理を用いながら同時に、現状の延長ではなく、今後の街の変化に対応する指針を探そうとするものである。 ここでは全20戸の住戸に16通りのプランを用意し、これを各々異なったボリュームの単位として組み合わせた。 その結果は、完結した一個の建築というより、街の一部のような姿となる。 敷地の北側は日影規制と駐車場の附置義務のために壁が立ち上がっているが、それは大きくセットバックし、手前に低い設備棟を配することで、やはりなだらかなスケールの変化を形成している。
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この構成方法は、強い全体規則の強制ではなく、部分的なコードの
といったコードである。
こうした、都市の潜在的コードの探求とそのプログラム化は、都市をつくる/発生させるに際しての必須の研究である。 そのような手順でできた建築は、当然ながら全体として単純なパッケージをまとわない。 それはまた、ひとがみな違うように、家はみな異なるはずという認識に対応している。 | |||||||||
一体性をつくるもの/色彩・テクスチュア個々の単位が変化する構成に対し、一方で全体の一体性を伝えるものとして色彩とテクスチュアが使われた。 白い壁には細いスリット開口と金色のタイルのラインが転写されている。 | |
パブリックスペース/空の中庭一戸建てと集合住宅の違いは、共用空間の有無にある。 アプローチは出入りの多い壁に挟まれた狭い路地であり、見上げれば不規則に切り取られた空に金属のロッドが金色の雨のように走っている。そこを抜けると広がる中庭は、素直に気持ちの良い空間となることを求め、視線を取り込むひだとして入り組んだ奥行といくつもの開口のある襞を用意した。 建築の輪郭で切り取られる空は「空の中庭」として知覚されるべく、サイズや輪郭を決定した。 各住戸へのアクセスはいくつもの階段やブリッジ等、できるだけ複数のルートを用意し、気分によって選べるようにした。 |
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