楕円形の中庭を取り囲む空間は、閉じることなく途中で切断されている。
東側から続く室内は西側1/3ほどのところまでで、以後は外部であり植栽されている。一方、中庭を取り囲むガラススクリーンは途切れずに続いて、閉じた楕円を成す。
中庭の床は室内から続く黒御影である。植栽された外部に立ってみると、中庭は室内のようでもある。
逆に室内からは、中庭が外部で、その向こうの緑が再び室内のようにも思える。
中庭に立てば、同じ黒い床の部屋はむしろ中庭の延長のようであり、かえって緑の外部が室内に見える。
中と外が連続し、断続し、そして重なりあっている。
こうした空間レイアの「実体の」重なりを映像として増幅するのが、いくつかのスクリーンである。
室内の壁の鏡はそのひとつだ。この鏡は、緑の外部と中庭の境界に立ったときガラス越しに室内に緑を重ね合わせるよう、位置と大きさが設定されている。モニタの映像のように、中庭のスクリーンの向こうに広がる景色が部屋に重なる。
中庭を取り囲むガラススクリーンには金色のドットがプリントされている。それは均一ではなく門型のパターンで、スクリーンの透明性を高めると同時に逆に不透明性も増幅している。さらに、折れ面で構成されたガラススクリーンが、反射像を複製していく。
中庭に立つと、視界に入ったひとが近づくのか遠ざかるのか、右からか左からか、ふと錯覚する。距離や方向があいまいになり、空間の奥行きが増していく。
しかしそれは鏡の間のような直接的なメイズではない。あるときふと気づくように、さりげなく、空間が重ね合わされ拡張されている。
床も増幅スクリーンのひとつである。黒御影はマットな仕上げで反射を抑えてある。そこに切り取られた中庭の空の光が映り、トップライトからの光芒が描かれる。
ここでは、上と下、右と左、前と後ろ、中と外という序列に、組み替えが起きている。
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