JELLY FISH-3 (1997)



島/水

とても大きな湖に浮かぶ、小さなちいさな島のゲスト・パビリオン。

長径70Mの島は、岸から750Mしか離れていないので、電気や水は岸から供給する。
ただし、橋はなく、アクセスは船だけである。

JELLY FISHという名の計画は、これまでふたつある。

90年の初代JELLYFISHは、海辺のセカンドハウスであった。
94年のJELLYFISH−2は、海に面するミュージアムである。
いずれも、水に接している。


浮力/飛翔

水の最大の魅力は、体を支えてくれる浮力である。

水中では翼が手に入る。
わざわざ衛星軌道まで行かなくても、水中では、からだのまわりに満ちている透明な物質が、重力をキャンセルしてくれる。疑似無重量状態。
地上で、ヒトは前後左右にしか動けないが、水の中ではこれに上下が加わる。
上にも下にも、自由意志で空間を移動することができる。
そこに開かれる新しい世界の素晴らしさは、体験すれば分かる。
空間を理解するのには、体験が必要なのだ。

「知る」、と、「理解する」、とは、別の作業だ。
水の中で初めて、ヒトは空間が三次元であることを理解する。


光天秤/対称性

水のもうひとつの魅力は、変化する光にある。
翡翠色の珊瑚礁の水も、手にすくえば、無色透明である。
スコールが近づいて、小さな波が広がると、水面は銀白色の、不透明な板に変わる。

風と光の振る舞いが、水の性格を瞬時に変える。
水は、透過と反射の可変波長、可変率フィルターとして機能しているのである。

JELLY FISHシリーズは、この、水と光をめぐる試行の、プロトタイプである。

その目的のひとつは、浮力という見えない作用を、物質化することにある。

そしてもうひとつの目的は、逆に、実物の空間を外界との間の制御フィルターに変えてしまうこと。

このふたつの目的は、結局、物質と空間を、入れ替えることである。
空間とは何も無い場所であり、物質とは密に詰まったものだ、という先入観を組み替えること。

液体によって満たされた、物質としての空間、触ることのできる空間というものの提示。
そして同時に、光と風を変換するフィルムとしての空間の、提示。

JELLY FISHの姿は、天秤に似ている。それは空間の重さを、そして光の質量を量る天秤である。
その天秤の上で、チカラはモノになり、モノはサヨウに変わる。交換される対称性。


初代JELLY FISHは、渓流に面した実作、「村のテラス(MURA-NO-TERRACE)95」に連なる。

川。


そしてJELLY FISH−2の一部は、埋め立て地の海辺に建つ「K−MUSEUM 96」の、半透明自由曲面体として実体化した。

海。


三度目の正直、JELLY FISH−3は、このまま建ってほしいのだが。

湖。


movie  ( .mov file    205KB )


[JELLY FISH]

[JELLY FISH-2]