太陽神の都市−1
住宅には太陽の光が必要だ、というのは、日本では不可侵の条件らしい。
それはもはや、「都市神話」であるといっていい。
その証拠に、都市のマンションは南向きから売れていく。
もちろん、日当たりなんていらない、という施主は当然いる。しかし、不特定多数を対象にした「都市住宅」にとって日照は欠かすことのできない条件ということになっている。
さて、すべての住戸に一定時間以上の陽を当てるという、このシンプルな条件をクリアするために、普通採用されているのは「隣棟間隔」という方法である。
日が当たるだけの間をあけて、板か塔のような「住棟」を配置する。
では、本当に、これが最適解なのだろうか。
住戸はみんな同じ箱になって並ぶ、この方法が。
そんな疑問が、このプログラムの出発点である。
まず、敷地いっぱいに立ち上がる立体を考える。
その奥の方の、一軒の住戸に日の光を届けるには、その立体に穴をあければいい。
これを、すべての住戸について行なう。
するとそこには、たくさんの穴のあいた大きな箱、多孔質超立体が出現する。
その中のすべての住戸には条件どおりの日照が保障されている。
これは、板や塔を並べた今までの解答と日照条件では同じパフォーマンスである。
しかし、今までの解である板や塔にはない特性が、ここにはある。
それは例えば、うちと隣は同じではない、という多様性であり、あるいはたくさんの半戸外公共空間の発生である。
アクセスやプライバシーや、その他の条件も、同様な考え方で組み込んでいくことができよう。
ユニットのかたちを変えることはもっと容易だ。
このプログラムが告げていることは、こうした個別の例を越えて、いま普通に使われている「方法」は、けして唯一の最適解ではない、という一般「事実」なのだ。 |